プレイングの話14――最序盤の組み立て




 カーコマは4点のライフを奪い合うゲーム。
 4点しかない以上、1点の価値は高い。
 だから先制の1点はでかい。
 ファーストコンタクトを制したプレイヤーが圧倒的優位に立つ。
 ――そんなふうに思って、目先の1点に走ると痛い目を見ることもある。

 よくよく考えてみれば、4点あるライフのうち、最も価値が高いのは最後の1点。
 それを失えば負けるのだから当然。
 同じ理屈で、もっとも価値が低いのは最初の1点となる。
 最序盤にライフ3-4になるのはごく普通の出来事にすぎない。

 ファーストコンタクトは重要だが、それは後のアドバンテージに大きく関わるからであって、最初のライフ1点がでかいからではない。

 特にライフを連取する動きがあるデッキなら最序盤は慎重に組み立てたい。



 -----



 早速例を見てみよう。

 こちらが初手女海賊、相手が初手ウミガメ。
 よくあるといえば、よくあるシーン。
 L2スタートのデッキにとっては頻出のシーン。

e0295317_07261200.png

 3ターン目が始まる直前まではサラマンが2点火力だったので、
 女海賊を出していきながらサラマンを撃つつもりだった。

 が、子分を引いてしまい、3点火力に。
 サラマンで誤爆するとそのまま敗北コースに入る。
 こういうとき、どう考えればいいだろうか。

 ざっくりと、

 A:誤爆せずウミガメを焼き、女海賊が勝利
 B:誤爆して女海賊と魔力とサラマンを失う
 C:スルー(ランプの精を使う)

 この3パターンがあるとし、これらのパターンを比較することになる。
 それぞれのパターンの勝率をだいたいで考えてみよう。
 あくまでだいたいで。正確な数値なんて分かりっこない。



 まず、パターンA:女海賊+サラマンがうまくいく場合。
 相手は唯一のアタッカーを失い、こちらはライフ勝利回数勝利効果、3つのアドバンテージを得る。
 海賊デッキの王道パターンに入り、勝率はかなり高くなるだろう。
 また、相手の初手がウミガメであることから、手札が事故気味であることが推測できる。
 ウミガメに続いてサイズのあるアタッカーが出てくる確率は低い。たとえば青鬼があるなら初手にそちらを選んでいたはず。
 (とはいえ、ウミガメはサイズがあるため立派な初手候補だし、青には首長竜も控えていて、あっさり対処されることもある)
 70~80%ぐらい勝てる展開。



 続いて、パターンB:女海賊が勝利できない場合。
 こちらはメインアタッカーを失い、魔力もなくなって補助の自由度を失う。というか打てる補助がなくなる。
 ウミガメを処理するのに最低2ターンかかってしまう。
 ここから巻き返すのはかなりしんどそう。やむなく続けて子分を出して、それが無補助で勝ってくれるかどうかが分水嶺となる。だいたい負け。
 20~30%ぐらいの勝率か。



 最後に、パターンC:スルーした場合。
 相手にウミガメを温存する理由があまりなさそうなので、だいたい戦場にでてくる。
 つまりライフを1点とられる。
 こうなると五分ではなくなるから、勝率は下がるだけ。
 50%より低く見積もる。40%ぐらいだろうか。
 ただし、それは瞬間的な勝率であって、ランプの精によってサラマンの打点があがったり、船長などのコンボパーツが引ければ有利になる。
 相手の動きから手の内や二色目の情報を得られるかもしれないし、魔力を使わせられれば次のターンは邪魔されずに動けるかもしれない。
 よって、勝率40~49%ぐらいを見込めるとする。



 後はそれぞれのパターンの発生率が分かれば期待値が計算できる。
 AとBが同程度の確率で起きるなら、勝率はトータルで50%程度。
 Cが50%未満だから、スルーより女海賊+サラマンの方がちょっとだけ有利。(微差すぎて比較の意味がない)

 しかし実際にはパターンBの方が発生しやすい。
 なぜなら女海賊が負けるパターンは誤爆だけではないから。
 ウミガメに翼竜のような致死コースがある。補助に天狗、ラッパ妖精もないとはいいきれない。
 また、例外パターンとして遅延策(雪女)、リセット策(ゴブリン戦車)もある。
 パターンAの発生率 < パターンBの発生率 + 例外の発生率
 となるので、女海賊+サラマンの勝率期待値はパターンCを下回りそう。

 もっというと、
 対戦相手の動きが絞り込めないから、女海賊+サラマンの勝率期待値はブレが大きい。
 序盤から博打を打つよりは安定した選択をした方が、最終の勝率も当然ながら安定する。

 不確定のライフ1点を選ぶより、
 ライフ2点連取が濃厚な体勢造り選ぶ。



 というわけで、スルー有利。





 ごちゃごちゃ書いたけど、この程度の損得勘定は誰でも働かせている。
 これまで無意識的に考えていた人は意識的に考えてみることで上達するかも。

 一般化すると、
・不確定要素が大きいときはスルーした方が有利。
・スルーすると状況が悪化しそうならリスクを取って戦場にでていった方が有利。

 
 それだけのこと。
 今回の例はランプでサラマンの打点UPがあるからスルー有利なのであって、
 サラマンがない場合はスルーしても状況は良くならないので女海賊は出していって、ランプの精のドローに期待する方がよくなる。
 尖兵が手札にあるときもスルー有利。女海賊は温存して尖兵を待機所に置く。手札にサメもあるし、1ターン待つことで船長を引ける確率も増える。

 スルーした後の方が強くて安定した手を打てそうなら、最初の1点は捨てても問題ない。

 留意しなければならないのは待機所のクリーチャーが与えるプレッシャー。
 女海賊と海賊子分では与えるプレッシャーが異なる。
 子分の場合、相手は「スルーしても状況が良くならないから戦場に出さざるを得ない」として行動してくるはずなので、これを判断材料に加える。



 -----


 ごちゃごちゃ書きすぎたので、早速おさらいとして、
 同じような例をもうひとつ見てみよう。


e0295317_07325439.png
 今度はウミガメではなく煙→ゴブ戦と鉢合わせたパターン。
 初手にゴブ戦はメインの手筋ではなさそうだが補助の候補が多すぎて絞り込めない。
 ゴブリンデッキだったならサメを打ってもゴブ王を防げない。

 スルーしたからといって状況がよくなる場面ではないが、
 不確定要素が多いのでスルーとしてみた。
 (無補助で戦場に出す → 不確定要素が多い
  補助にサメを使う → サメが通らない補助もそこそこある
             サメが通ってもそのあとのアドバンテージが続かない
  以上を総合してスルーと判断)


 相手が使用したのは翼竜。




e0295317_07365447.png
 結果論でいえばサメは通っていたし、ここでゴブリンメイジを使われると敗北コースにはいることになるが、
 全体としては柔軟な選択ができたと思う。

 幽霊が見えて赤黒と判明。
 補助のための魔力を残すより幽霊を出す方が有利な手札&デッキ構成であることも判明。
 これらの情報は大きい。

 そしてスルーすることによる恩恵がもうひとつある。


e0295317_07420816.png
 魔力をためられるため、連続して補助を使える。
 一方、相手は魔力が制限されているため、素直に攻めるしかなくなっていて、読みやすい。

 この一連の展開に、スルーすることの意味が濃縮されている。




 -----




 お次はL1同士で対面した例。

e0295317_07465956.png

 イソギンは事故初手っぽいが、手札のウミガメを前提とした一手ではないとはいいきれない。
 深く考えず、尖兵をだしていってもよさそうっちゃ よさそう。

 ただ、ここで1点を急がないことでひとつだけ明確なメリットがある。
 次のターンのイニがこっちに残るという事実。

 結果論でいえば正解だった。
 踊り子ビホルダーを防ぐことができた。

 微妙な問題だし、結論はデッキによるので一般化はできない。
 海賊デッキはライフ連取を意識したコンボが搭載されているから最初の1点で焦らなくてもよさそうというのが判断基準。



 -----

e0295317_07493010.png

 勝利回数0回のところに船長を使うことはほとんどないが、
 画像のような状況だと話は別。
 ランプの精に補助を使われると女海賊が沈んでしまうため、後続を用意しておきたいので、渋々船長を打っておくケース。

 これなら女海賊が負けても、
 次のアタッカーが残るし、サラマンを引けば3点火力がある。
 ゴブリン戦車でリセットして出した炎馬に2枚目の船長を使う選択肢も残ってくる。

 ファーストコンタクトが上手くいかなかったときのフォローを考えるのはカーコマの基本。

 なお、今回は1ターン待っても状況はよくならず、むしろ補助を読み切れなくなるので戦場に出て行くのが吉。
 読みが重要なゲームだからこそ、読みの負荷が少ない方へもっていって読みの精度を高めていきたい。

 手札にサメがあり、相手が狩人を打ってくると分かっているならスルーも可。相手に渡ったサメの処理にサラマンか船長+船のコンボがあるなら、ますます狙い目。
 レートロビーに入り浸っていれば同じプレイヤーと戦うことになるため、デッキの動きも読みやすく、初手ランプの時点で狩人を見据えることもある。



 -----


e0295317_07512880.png

 初手尖兵。相手はドルイド。事故初手くさい。ガンガンいきたい。
 が、イニが相手にあるため譲るしかない。
 尖兵だけでは不安なのでランプの精をプレイ。
 ――という場面。

 ここまではよくて、問題はその次。

 「この場面では炎馬を素出しできるように、スルーして魔力をためること」
 と自分と約束していたのだが……
 気の迷いで女海賊をプレイしたら(首長竜→イソギンと続いたら最悪だと思ってしまった)、
 相手はクマをプレイ。
 クマは海賊デッキの天敵。赤緑クマならクマが待機所のエサを食うたび炎馬が自動的にスタンバイしてくれて逆転もあり得るが、相手は青緑クマで、そう易々とエサを投入してくる造りではなく、絶望的な展開となった。

 運良く勝てたが、ここでしっかりスルーして炎馬に繋いでいたら楽だったはず。
 炎馬と船長がセットで手にあるときは特に炎馬素出しのパターンを視野にいれたい。

 序盤の動きが決まったら(ランプの精を無補助で戦場に送り出す)、あとは運に身を任せ、中盤以降の展開を意識する。
 運ゲーだと割り切ることころは割り切らないとトータルで勝ち越せなくなる。反省。
 これができなくて負けることが多い。補助を打たないと不安でしかたないという病気。



 -----

 強い動きがあるときは、素直に打つ。
e0295317_07541974.png
 子分が与えるプレッシャーを考えると素出しは微妙。
 もったいぶらずサメを打っていく。
 続けて船長→海賊船のコンボが使えるため、サメが相手に渡っても困らない。
 (とはいえサメは子分が回収してくれるが)



e0295317_07580580.png
 続くターン、ここでは二枚目のサラマンが最有力だが、焦って船長→海賊船のコンボを使う必要はない。
 赤青はスルーすることでしか魔力を稼げないので、ライフをとられるわけではないこんな状況ならスルーあるのみ。
 (ゴブパラのことを完全に忘れているかわいそうなプレイヤーです……)

 ↓

 やっぱりサラマンに焼かれた。



e0295317_07584594.png
 そのあとも魔力があれば強い補助が打てる。
 強い動きを連打できている以上、焦ることはなにもない。

 ファーストコンタクトが重要なのはライフ1点を先制できるからではない。
 ゲーム全体の主導権を握れるか否かがかかっているからだ。
 一度主導権を握ったら、今度はそれを手放さないよう、隙を小さく構えることを優先する。




 -----



 今回の内容は以上です。

 海賊デッキの例ばかりだからスルー有利の場面が多くあがっているが、
 ほとんどのデッキではスルーせずに戦場に出していくのが正解となる。
 初手L1は先制の1点をとるのが至上命題みたいなものだし、
 初手L3もイニがあればだいたい戦場に出していくはず。

 だからこそ、スルーした方が有利な場面を知っておく方がうまく立ち回れる。
 オウムガイのような初手ハメ系アタッカーにとっては死活問題。
 ふつうのデッキでも初手ミイラや初手海賊に対してどう対処するかはあらかじめ考えておきたい。




[PR]
by cardfan | 2017-03-19 08:13 | プレイング | Comments(2)
Commented by at 2017-03-23 12:10 x
記事面白いですね
デュラハンが苦手です
対策教えてください

Commented by cardfan at 2017-03-24 19:40
デュラハンを見越してドルイドを合わせ、魔力だけは確保するとか、
騎兵やイソギンを合わせるとか、
戦場が空っぽならケルベロス。
人面樹やサメを合わせてデュラハンが相手の待機所に落ちるのを妨害するなど。

デュラハンが入っているか、
入っているならいつ打ってくるか、
そのあたりが読めたら、あとは手札と相談てな感じです。


<< L2+補助 海賊デッキの手筋コレクション >>